最高裁判所第一小法廷 昭和34(オ)316 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁護士枡本輝義の上告理由第一、第二点について。
記録により当事者間に争なきところと解される事実及び原判決が挙示の証拠によ
つて認定した事実によれば、
(一) 本件従前の土地については、昭和二九年九月七日権利者である被上告人
のために強制競売開始決定の登記がなされ、次いで昭和三〇年九月一七日被上告人
は競落によつて右土地の所有権を取得し、同年一〇月一五日その所有権の取得登記
を経たものであること、
(二) 被上告人の右所有権取得の前である昭和二四年九月一五日、宮崎市都市
計画の実施こよつて右土地の一部換地予定地として、宮崎市a町b番地の一部に三
四坪一合七勺が指定され、同年一一月七日当時の従前の土地の所有者であるDにそ
の旨の通知がなされ、次いで昭和三二年二月二二日土地区画整理法による換地処分
により右換地予定地が右同町c番宅地三四坪一合七勺として換地が決定され、同年
六月二二日その旨登記がなされたこと、
(三) 上告人は昭和二四年一二月中旬頃前示a町d丁目b番の換地予定地を前
示所有者Dから賃借し同地上に本件建物を建築し、右につき昭和三〇年九月二二日
所有権保存登記を経由したものである、
というのである。
してみれば、本件従前の土地について前示昭和二九年九月七日権利者である被上
告人のため、強制競売開始決定の登記がなされているというのであるから、右土地
については該登記の時を以て差押の効力を生じ、その効力は前示換地予定地につい
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ては勿論前示換地確定地についてもその効力を有すべき筋合であるから、所論賃借
権はその後に地上建物の保存登記がなされていても被上告人に対抗できないものと
解すべきであつて、従つて所論主張は叙上の点においてすでにその理由なきもので
ある。しかのみならず本件のように区画整理の施行によつて換地予定地が指定され
た場合は、従前の土地について存在していた賃借権は条件の如何によつては従前の
土地を取得した新な所有者に対しては対抗できるであろうが、換地予定地そのもの
について設定された賃借権は従前の土地を取得した新な所有者に対しては対抗でき
ないものと解するを相当とする。けだし、もし然らずとすれば、従前の土地の所有
権を取得した者は不当に所有権の行使を妨げらるることとなるばかりでなく、土地
の転換によつて市街地を整頓しようとする区画整理の遂行は遂に支障を生ずるに至
るであろうからである。従つて同趣旨に帰する原判決の判断は正当である。されば
所論主張はこの点においても是認できない筋合のものであつて、ひつきようするに
所論はすべて叙上に反する独自の見解の下に原判決を非難するものであつて、採る
を得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 高 木 常 七
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